頭ってどう使うの？

　ミーシアが立ち去り、部屋には冒険者と、バートン、アニエスが残された。
　……ふと見ると、ピクピクする耳が一つ、二つ、三つ、……八つ!?
　いつのまにか、コリューンとチーゼルの頭にも、可愛らしい耳が生えていた。
　コリューンには猫の耳が。チーゼルには、どうやらリスの物らしい耳が……。

　ちょっと弱気(笑)

　何も言わずに耳を触り、お尻を触り、そしてふとごろんと横になるチーゼル。
　ある程度冷静なように見えたが、どうやらただの逃避行動だったようだ。

　何を思ったのか(いや、何を思っているのかは明かか？)ザックの足に頭を摩り付ける。
　しかし、」以前からコリューンにこっぴどい目に会ってるザックはコリューンの動きをみすかしていた。

　コリューン、まっしぐら(笑)

　アニエスもまっしぐら(笑)

　そんなこんなの所に、お茶の用意をしたミーシアが戻ってきた。

　カヴァレスは一瞬ザックの発言に何かを言いかけたが、すぐにどうでも良くなったのか、視線をミーシアに戻した。

　思わずザックを見、そしてリムリィを見てしまう、チーゼルであった。

　今一、チーゼルの視線が理解できないリムリィ。自覚がないのは罪でしょうか、先生？

　ザックの下卑たジョークをさらっとかわす辺りは、さすがである。

　お菓子を咥えたまま、おもむろにコリューンはザックの顔を引っ掻いた。
　ザックの顔に、くっきりと５本の線が刻まれる。

　ザックの悪態に動じることもなく、ザックの耳を齧り始める。

　干し肉を一切れ取り出して、コリューンの目の前で振る。
　この台詞は、コリューンのおなかとザックの耳、どちらを心配してのものであろう？

　干し肉に飛びつき、嬉しそうにしゃぶり出す。

　同感。

　それを無視して、

　寝そべってるバートンに(適度に距離を置いて)近づく。

　リムーブカースは、学院じゃなくて神殿だね。

　一方のアニエスはと言うと、目の前で揺れるリスの尻尾に姿勢を低くして狩りのポーズ。

　しかし、当の本人は自分の尻尾の危機なんてまるで気づいていないようだ。

　バートンは、そう言って周りを見渡して何かを探し始めた。
　すると、アニエスが椅子に置かれたクッションの裏から、何かをくわえてひっぱりだした。

　プレートには、下位古代語ではっきりと、
「呪いを解くには宝珠をかざせ。知恵を見せ、我が呪い解いてみよ」
の文字が書かれていた。

　笑っている場合じゃないだろ……。

　しかし、それ以上は何も分からない。

　"頭を使って”の意味が違う…………。
　念のため、頭突きで叩き割る、とか言うのも却下だよ。

　学院嫌いは治っていないらしい。

　そう言って、リムリィにすりすり。

　ミーシアに目で助けを求るも、ミーシアにだって困った顔をしながら何もできない。

　何も言わず荷物からマントを投げてよこす。相変わらずシャイな奴だ。

　コリューン、耳、耳！