|
SW-PBM #172 “死にたがり”のメアリ |
| ■ フランネル邸を探して ■ | ||
|---|---|---|
| Prev page | #175 Index | Next page |
| 【 ハーム通り 】 |
てくてくと歩く事数十分。さして迷う事もなく、パーティはハーム通りと呼ばれる街路を見つけた。
小高い丘へと見上げるように伸びている道で、その麓には商店街。頂上へと近付くにつれ見た目にも立派な屋敷が立ち並んでいるようだ。
丘の頂上は丸く切り取られたように広場が造られていて、そこからであればオランの名所と言えるエイトサークル城や三角塔が良く見通せるだろう。
おやじの説明によれば、この通りのどこかにフランネルの屋敷があるはずだが……。
| ■カラレナ To:ALL |
|
わぁ……。 私、オランにこんな場所があるなんて知りませんでした。 お散歩に良さそうですね〜。 |
頂上からの眺めに興味津々のようだ。
| ■クローエ To:カラレナ |
| あら、ほんとう。 |
口元がほころぶが、その後それを延々と登る事になるのだと気がついて、少しげんなり。
| ■クローエ To:ALL |
| …頂上まで結構ありますねえ。そのフランネルさんが、メアリさんの事だと良いのですけど。 |
| ■アイライ To:カラレナ、クローエ、ALL |
|
いろいろ落ち着いたら、皆様とゆっくりピクニックに行きたいでありんす。 クローエさんは、疲れたら、わっちがおんぶするでありんすよ? |
クローエの方を見てにっこり。
| ■クローエ To:アイライ、ジン |
|
あらあら、ありがとう。アイライさんは本当に優しい子だねえ。 でも大丈夫。わしはこう見えても、エルフの中ではまだまだ若い方…の、はず…? |
なぜか恐る恐る、ジンの方をうかがうクローエ。
実は結構長い事、年寄りを装って生活してきたので、なんとなくアイデンティティに揺らぎが。
| ■シロノワール To:クローエ、ジン |
|
……? ジン様の方が実は年寄りで若作りしてるだけ、ということでしょうか(首傾げ) エルフの見た目は難しいのです。 |
| ■ジン To:クローエ、アイライ |
|
まあ、エルフの森の生活は時間が止まっているようなものだ。 人間の町に出てきてからで数えれば、アイライよりも短いさ。 |
| ■クローエ To:ジン |
| ふふ。その論法で行くと、人と交わって生きる私たちは森の同胞よりすごい勢いで歳を取る事になってしまうわねえ。 |
| ■アイライ To:クローエ、ジン |
| あい。ジンさんと違って、クローエさんは人間のお婆ちゃんの香りがするでありんす。 |
本人としては褒めているつもり……らしい。
やっぱりお婆ちゃんかも……と、ちょっと凹みかけたクローエだが、すぐ復活した。
| ■クローエ To:ALL |
| あら、なんだかおいしそうな匂いが…? |
昼時という時刻もあってか、ちらほらと見える食堂からは良い匂いが立ち込めている。
道端に腰を下ろし、弁当の包みを広げている者もいた。
視線を動かせば、早くも夕食の食材を品定めに来た主婦もいるようだ。
| ■カラレナ To:ALL>主婦 |
|
ちょっと、聞いてみますね。 あの、すみません〜、この通りにフランネルさんのお屋敷があると聞いたのですが、ご存知ありませんか? |
と同時に、ぐぅというお腹の音が響く。
場を和ませる援護と取るべきか、空気を読めていないお茶目と取るべきか。
とりあえず、カラレナの腹の音ではないという点だけは弁護しておこう。
| ■カラレナ To:主婦 |
|
い、いまのは私じゃ……(ふるふると首を振り) ……じゃ、じゃなくて。 あの、お使いで来たのですが、詳しい住所を知らなくて……。 |
| ■主婦 To:カラレナ |
|
フ、フランネルだって? ……知らないね。他を当たっておくれ。 |
フランネルの名を聞いた途端、それまで朗らかだった主婦の顔が強張る。
そして、そそくさと逃げるようにしてカラレナと距離を置いた。
それまで商談を繰り広げていた店主もなにやら苦々しげな表情を浮かべていた。
| ■ジン To:ALL |
| ふむ。なかなか面白い反応だな。 |
| ■店主 To:カラレナ |
|
……嬢ちゃん。 何の用で来たかは知らんが、悪いことは言わん。フランネルとは関わらん方がいい。 このまま真っ直ぐ帰るんだ。 |
| ■カラレナ To:主婦&店主 |
| ……え……??? |
| ■アイライ To:ALL |
| 随分、有名人でありんすなぁ。 |
極端な反応に思わずため息を漏らす。
しばらくおろおろとカラレナと主婦と店主を順に見ていたが、ふと決心したように、店主に精一杯の可愛い声で話しかける。
| ■アイライ To:店主 |
|
おやじ様ぁ。 この苺、おいしそうでありんすなぁ。6粒ほど、おくんなまし。 ところで、わっちら、お使いができないと、おっかない親分に怒られてしまうでありんす。場所だけでも教えてくりゃんせ。 ・・・でも、行ってはいけない理由がありんすか? わっち、怖いでありんす。 |
最後は、ちょっと怯えた表情で、瞳をうるませつつ店主を上目遣い。
| ■店主 To:アイライ |
|
6粒なんて半端な数は置いてねぇ。1ダースで5ガメルだ。 ……行っちゃいかんとは言ってない、関わるなと言ったんだ。 フランネルに関われば不幸になる。……このあたりの人間は、みな口を揃えてこう言うさ。 実際、フランネル家の近隣に住んでいた連中は事業に失敗したり家族に不幸が起こったり、そんな話ばかりだ。 みんな逃げ出すように引っ越して、今でも山の上に住んでるのはフランネル家だけさ。 |
| ■カラレナ To:店主 |
|
……それって……近くに住んでいただけで、ですか? それとも、フランネル家になにかしら関わったから……? |
| ■店主 To:カラレナ |
|
何が切っ掛けなのかは分からんよ。 ただ、今も言ったようにフランネル家に関わったり近くに住んでいた者は、例外なく何かしらの不幸に見舞われてるんだ。 |
| ■シロノワール To:店主 |
| …はあ、随分な物言いですね。 |
| ■アイライ To:店主 |
|
ふむふむ、なるほど・・・って、精一杯のぶりっ子だったのに、華麗にスルーでありんす。こっ恥ずかしい...。 苺、貰うでありんすね。5ガメルはここに置いとくんす。 |
顔を真っ赤にしながら、苺が盛ってある籠を手に取ると仲間達の方へ振り返る。
| ■カラレナ To:アイライ |
| アイちゃん、ふぁいとっ、ですよ〜。 |
華麗にスルーを喰らったアイライにエールを送る。
| ■アイライ To:カラレナ |
| う、うん。がんばる。 |
カラレナに励まされ、泣き笑いのような表情を浮かべる。
| ■アイライ To:ALL |
|
えへへ。さっきのお腹の音で自分もお腹が空いてたのを思い出したでありんす。 苺が美味しそうなので買っちまいやんした。 みんなで食べるでありんす。 |
と、照れくさそうに、苺の入った籠を差し出した。
| ■カラレナ To:アイライ>ALL |
|
ありがとう〜。 って、あれ、わ、私じゃないですから…… |
苺をそっとつまみあげながら、思い出して赤くなる。
| ■シロノワール To:カラレナ>アイライ |
|
カラレナ様、そんな言い訳しなくても。 お腹が鳴るのは自然なことですし。 あ、僕も頂きますね。有難うございます。 |
苺を摘み上げて、しばしその瑞々しい赤色を見つめる。
| ■クローエ To:アイライ |
|
き、聞こえてましたよねえ… ごめんなさい、あれは、わしの腹の虫だったのよ。 |
クローエは小さくなりながら言いつつも、ちゃっかり苺に手をだす。
| ■クローエ To:ALL |
| あら、美味しい。 |
| ■シロノワール To:クローエ |
|
…と、あの音はクローエ様でしたか。 こう、エルフの方は光合成でも大丈夫なイメージがありましたので、食欲旺盛というのは少し意外でした。 |
目をぱちぱちと瞬いて、そんな感想を呟く。
| ■カラレナ To:店主 |
|
あ……それで、場所はここで合ってるんでしょうか? お使いだけでも、すませないといけないし……。 |
| ■店主 To:ALL |
|
どうしても行くっていうなら、無理には止めないがな……。 頂上広場に面した屋敷の一つがフランネル家だ。他はみんな空き家になってるから、探せばすぐに見つかるはずだよ。 |
| ■カラレナ To:店主 |
|
頂上広場……ですね、ありがとうございます(ぺこり)。 あ、その不幸な出来事って、いつごろから起こり始めたのかはご存知ですか? ……確か数年前に、当主夫妻が亡くなられたって聞いたんですけど……。 |
| ■店主 To:カラレナ |
|
わしも詳しくは知らんが、そういう噂が立ち上るようになったのは当主夫妻が亡くなる何年も前からだな。 そうだな……どちらかというと、フランネル家に子供が生まれた頃の方が近いんじゃないか。 |
指折り数え、店主は15年くらい前からではないかと教えてくれる。
| ■マリィ To:店主 |
| その、フランネル家の子供さんの名前はご存じ有りません? |
| ■店主 To:マリィ |
|
あまり係わり合いになりたくないんでな、名前までは知らん。 ただ確か、女の子だったはずだと思う。 |
| ■クローエ To:ALL |
| 女の子! |
| ■ジン To:ALL |
|
ふむ。その女の子というのが、メアリということかな。 そして彼女が生まれた時期と不幸な出来事が始まった時期が符合すると。 メアリがそんな噂をただ気にして「死にたい」と思っているのか。 それとも、本当に彼女になんらかの能力があって、それを止めてほしいのか。後者なら少々やっかいな話だな。 |
| ■マリィ To:ALL |
|
兎に角、行ってみない事には分からないですね。 厄介な事にならないと宜しいのですが……。 |
| ■シロノワール To:ALL |
|
まあ、厄介ごとを片付けるのが僕らのお仕事ですから。 しかし周りが空き家ばかりとは、お屋敷の治安も心配ですね。 |
心配が違う方向に。
| ■店主 To:ALL |
|
本当に気を付けろよ。 何かあったら素直に引き返して来るんだぞ。 |
心配げな表情を浮かべて店主が言う。
もちろんパーティの身を案じる気持ちもあるのだろうが、その顔により濃く浮かんでいたのは「とばっちりを受ける不安」だった。
| ■アイライ To:店主 |
| 不幸だと思うから、不幸になるんでありんすっ。他人を不幸にする力なんて、わっちは信じないでありんす。 |
店主の表情に反発して、捨て台詞を残す。
でも強がっているわりに、ちょっと足は震えてたり。
| ■シロノワール To:店主 |
|
ご安心ください。 何かあったら戻ってきて貴方になすりつけに参ります。いえ冗談ですが。 |
無表情に淡々と言う。
| Prev page | #172 Index | Next page |
GM:倉沢まこと