三人が話し込んでいると、入口のドアが慌ただしく開き、ホェルンが走り込んできた。
チェックインもせずに受付を通り過ぎると、一行の姿を見つけて駆け寄ってくる。

一瞬でスイリンに戻り、挨拶。

冒険者たちに気遣いを見せるも、かなり焦っていた。

ふたりそろって頭を下げる。

そこへ、露天風呂の戸がカラカラと開き、温泉で血色良くさっぱりとした様子の探索組が顔を出した。

経過説明は他の人に任せた（笑）！

説明になっているような、いないような。

ざっくりと最新情報を伝えながら、リュントに宝の入った袋を渡し、ミリィには、チャイロン滑走用に手を差し出す。

キルリックの腕を滑り降りるように走ってきたチャイロンに手を差し伸べる。

そこへ、だだだだっと元気よく階段を駆け下りてくる音。

ノールが最後の三段をひょーいと飛び降りて着地すると、一行の前で急ブレーキをかける。

飛ばされそうだったらしい。

扉の方を見てそわそわしている。

純粋な興味と純粋な心配。（多分）

とっさの行動に弱いタイプ。

ふたりとも、きちんと装備を身につけていた。

びしっとミァの前でポージング。

腕をぐるぐる回し、はりきっていた。

ランタンを握ったまま、ホェルンはきびすを返して出口へ向かった。
スイリンもその後に続く。

速攻ダッシュかけようとして……すんでのところで思いとどまった。

その後道に迷うのであろう。

若干、諦め模様。

外に出ると、扉は風にあおられて大きくはじかれるようにして閉じた。
突風が吹き荒れる温泉街。
雲ひとつ無い晴天の星空に変化はないが、あたりの植木がざわざわと音を立てて揺れ、足元には木の葉が舞っていた。