14b 生み出された世界 その2
意を決したかのように、先ほどの数倍のボリュームで口を開くカレン。
| ■カレン To:ALL |
| あのう! もしかしたら、このメッセージってギュネイさんからのものかとおもうんですケド! |
ハァハァと肩で息をして、予想以上に大きな自分の声に驚いたのと羞恥心のため顔を真っ赤にしながら、ちぢこまるカレン。
| ■ドルビー To:カレン、ALL |
| !!それッス!良く解らんけど何やら凄い自信っぽいからそれで良いッス!! |
| ■カレン To:ALL |
| たぶんですケド…… |
| ■ドルビー To:カレン、ALL |
| ……多分きっとそうッス。 |
| ■アスラ To:カレン |
| なんですかー? |
つかつかとカレンのそばに歩いていき、耳をつまむようにして耳元で大声を出すアスラ。
| ■アスラ To:カレン |
|
そんな大声をださなくても聞こえるんだ。 それとも、おまえまで一緒にバカになったか? いいか、ここは古代魔法王国の遺跡だ、しかもこれは何百年も動いていなかった鎧だ。 その鎧がいきなりギュネイせんせいの伝言をしゃべり出すだ? いったいどこをどう考えれば、そんな話になるんだ・・・まったく。 |
| ■レプラン To:ALL |
| 確かに・・・ |
納得した。
| ■カレン To:アスラ |
|
きゃーっ! ……ひ、非道いですよ、アスラさん! なにも耳元でそんな大きな声を出さなくても、いいじゃないですかあ(ToT) |
半分、べそをかき、ぶんぶんと腕をふりふり抗議するカレン。
だが、アスラの関心はすでに他の人物に向かっていた。
| ■ドルビー To:ALL |
| きっと古代王国のギュネイ先生さんッスよ。御先祖様ッスよ。 |
| ■アスラ To:ドルビー |
|
ちっちっち。 キミねぇ、確かにギュネイせんせいは優秀だけどねぇ。 残念だが、古代王国の血を引いている人は、そんなに大勢いないのだよ。 すでにここにひとりいる以上、もうひとりいる確率は天文学的にアリエナイ。 わかるかね? |
| ■ドルビー To:アスラ |
|
…………ハッ!? そ、そうッスね。微妙に先生の発音がアレなのはさて置いて。 つまり古代王国時代のギュネイ先生って事ッスね!!! |
もはや口を開くことなく、露骨に哀れみの視線をドルビーに向けるアスラ。
| ■大鎧 To:ALL |
|
(下位古代語で) あなたたちがブレアの暴走を止めるため探している石版が発見されました |
| ■アスラ To:ALL |
|
まてまて、おれが訳すぞ……。 ……ええっと「暴走阻止に石版を見つけにゃ」。 ほらみたことか、われらがギュネイせんせいなら、こんなわかりきったこというわけがないだろう。 |
| ■レプラン To:アスラ以外ALL |
| (ひそひそ)・・・「にゃ」ってなんだ? |
| ■タガート To:アスラ以外ALL |
| (ひそひそ)・・・きっとアレでやんすよ。自分のキャラがいまいち弱いからって、ドジっこあわてんぼキャラで攻めようとしてスベっちゃったでやんす。 |
| ■ドルビー To:アスラ以外ALL |
| (ひそひそ)・・・多分翻訳にもそれっぽくドジッ子ボケ入れてるッスよ。突込みが不足してて苛付いてるんッスよ。 |
| ■レプラン To:タガート&ドルビー |
| (ひそひそ)なるほど・・・ボケたがりだったのか・・・ |
| ■アスラ To:従者ズ |
|
ん?おまえらなんだ、こっちみながらコソコソと。 いいたいことははっきり言え!おれはイジメは嫌いだ。 議論は正面からこい、正々堂々とだ、いつでも受けて立つぞ。 |
| ■ドルビー To:アスラ |
| 簡潔に一言に収めると「にゃー」ッス。 |
| ■レプラン To:アスラ |
| (ぼそぼそ)さっき、カレンをいぢめていたような。。。。 |
| ■タガート To:アスラ |
| (ぼそぼそ)そうでやんす、イジメイクナイでやんす。 |
| ■アスラ To:レプラン>カレン |
|
そう言われるとは心外だな。 おれはいつでも、正面から、正々堂々と語っているぞ。 相手が大声を出せば、それ以上の声を出すのみだ。 まあいい、おいカレン、おまえの言いたかったことをもう一度言ってみろ。 どっちが正しいか、こいつらとベイカーに判断してもらおうじゃないか。 |
ボーンコレクターと搭乗席で格闘しているナナイのことは、見事に忘れ去られているらしい。
| ■カレン To:アスラ、ALL |
|
だから、さっきから、翻訳がびみょーにおかしいんですよう いま、この遺跡が暴走している原因を止めるための石版を見つけたって大鎧は言ったんですよ。 この部屋のガーディアンっぽいあの大鎧がそんなメッセージを発するのっておかしくないですか? |
| ■ベイカー To:ALL |
|
いやいや、「にゃ」というのもなかなか粋な訳し方ですぞ? そもそも下位古代語というものは古代王国期の俗語であったと言われておる。 「にゃ」と訳すことで古代王国期の生活が偲ばれるというのもですぞ♪ |
役立たずえせ賢者惨状っ
| ■レプラン To:ベイカー |
| ・・・そういう問題なのか・・・? |
| ■アスラ To:ベイカー |
| おおベイカー、おれさまの凝りに凝ったセンスをわかってくれたのはおまえだけだ、友よ! |
感激のあまり、知識の神の神官の手を両手で握り、ぶんぶん上下に振るアスラ。
普段、笑い慣れていない男が浮かべる笑顔ははっきり言って恐い。
| ■アスラ To:カレン |
|
それにひきかえ、カレンよ。 大鎧が「石版を見つけた」って言ったというのはどういうことだよ。 ああ、おまえのいうことは正しいよ。 「ガーディアンっぽいあの大鎧がそんなメッセージを発するのっておかしくないですか?」 おかしいよ、大鎧がおれたちに替わって石版を見つけてくれたって言うのかよ。 それなら、その石版はどこにあるっていうんだよ、え? |
| ■レプラン To:アスラ |
| だからそれはぎゅ・・・・ |
さらにナナイの悲鳴。
| ■ナナイ To:ALL |
| もう・・・ダメ! |
| ■マナイ To:ナナイ |
| ・・・バカめ |
マナイは懐から何か取り出して鏡の方へそれを放ると、両手で軽く結印する。
すると、放り出した何かの体積が急激に膨れ上がり、無骨な石くれ人形が2体立ち上が?。
| ■マナイ To:ストーン・サーバント |
| あのデカぶつを取り押さえろ! |
2体の石くれ人形は、ボーンコレクターに組みかかると、その動きを見る間に止めてしまった。
| ■レプラン To:従者ズ |
| ・・・たぶん、俺たちよりあっち(石)のほうが強いんだろうな・・・ |
哀愁を漂わせつつ。
| ■タガート To:レプラン |
| 大丈夫でやんすよアニキ! 石に勝てなくても砂には勝てるでやんす! |
よくわからない理論でレプランを慰めるバカ一人。
| ■ドルビー To:ナナイ、マナイ |
|
頑張れ姐さん!けっぱれ姐さん! けどやばかったら俺ッチ胸を張って鏡を割って助かりたいッス!! ってか何かまだ言って無いッスかあの鎧さん!? |
| ■アスラ To:マナイ>ドルビー |
|
おい、マナイ!おまえはいつもそれだ。 そいつらサーバントをひっこめろ、それだからいつまでたってもナナイがボーンコレクターを完全に制御できないんだ。 ……って、鎧だぁ?! |
| ■大鎧 To:ALL |
|
(下位古代語で) 石版を持ってそちらの世界に戻るために、いますぐ扉となる魔法の鏡を砕かないといけません |
| ■アスラ To:ALL |
|
(しまった、たいしてききとれてない…ええい) 「石版が帰還するかもだ、鏡を?」 ……ど、どうだ?シンプルで短くて良い訳だろう。 |
| ■レプラン To:アスラ |
|
確かにシンプルです・・が・・・ 意味がわからない・・・・ |
苦悩するレプラン。
| ■タガート To:レプラン |
| 入れ替えて考えるでやんす。アナグラムでやんす。「石版が帰還する鏡かもだ」でやんす……あれ? |
入れ替えても意味不明。
| ■レプラン To:ALL |
|
(カレンの訳を信じて)・・・ナナイに伝言、ギュネイせんせいから・・・ 暴走防止に石版を見つけて・・・帰還・・・? で、鏡を??? |
レプランは こんらんしている!
| ■ベイカー To:レプラン |
|
はっはっは、だいぶ混乱しておるようですな。 シンプルとは究極の美ですぞ? さぁ、アスラの言葉にじっくり耳を傾けてごらんなさい。 さすれば古代王国時代の息吹や人々の暮らし、果ては心のひだまでもが見えてくるというもの。 |
| ■レプラン To:ベイカー |
| ……いやでも、まじめに耳を傾けていたら、何かこう、アスラ(ん)わーるどに引きずり込まれて戻って来れなくなりそうで・・・・ |
| ■カレン To:ALL |
|
……やっぱり、このメッセージってギュネイさんたちからのものじゃないんですか?なにか、大がかりな魔法装置か何かで過去に遡って、この暴走の原因を突き止めたとか。 そしたら、これまでの大鎧のメッセージだってつじつま合いますよ! もしかしたら、古代魔法王国人とお友達になってるかも!! |
ぶんぶん、ぐるぐると腕を振り回して興奮しながら力説するカレン。頭の中はではなぜか、カタコトの東方語でみょ〜にフレンドリーに接してくるややマッチョな古代魔法王国人のイメージがあふれていた……「HAHAHA、ヨクキテクレマシタデース、ゆートみーはオっトモダチデース」
| ■レプラン To:カレン |
| ・・・カレンさん、目がきらきらしてて怖いですよ・・・。 |
| ■タガート To:カレン |
| (ガクガクブルブル) |
| ■アスラ To:カレン |
|
おいおい、おれたちがギュネイせんせいたちと別れてからまだ半日だぜ。 これまでずっとこの遺跡を調査してきたが、そんな魔法装置らしきものが出てきたか? 過去にさかのぼれるような世紀の大発見がこの6時間の間に成されたというなら、それこそ奇跡だ。 しかも、蛮族を嫌っている古代魔法王国人とオトモダチになって、装置を使わせてもらったとなると… 神が地上に降りてきた!くらいの事件になるだろうよ。 |
| ■カレン To:アスラ |
|
でもでもっ! 逆に言えば、半日もあったんですよ? それだけあれば、何かかしらの魔法装置を発見することは可能だと思います! たしかに、可能性は低いですケド、しょせん、可能性は可能性ですもん。 僕にはギュネイさんからのメッセージとしか思えません! |
| ■レプラン To:ALL |
|
(ぶつぶつ)暴走防止に石版を見つけて・・・帰還・・・ 鏡を・・・ !! 鏡が、魔法装置!? |
石人形2体に押さえつけられているナナイを見る!