ぬりかべのたき火を前に、しばしの休息をとる一行。

ちょっぴり反省した様子で、下を向く。
膝がまだ震えてたりして。

マーキュリーの言葉に聞き入りつつも、いまいち自信が持てない様子。
自分の細い腕と、小さな手のひらをじっと見つめている。

決意を込めた、真剣な瞳で訴えてくる。

カルロの頭の中には、皆に終始守られ、庇われていた自分の姿が浮かんだ。
手のひらを自分の胸に当てる。

カルロは良く理解した様子で、うなずく。しゃがみ込んで、視線をカルロに合わせてから再び口を開くリールォン。

カルロにそう優しく諭し、ほほえみを浮かべながらカルロの頭をなでるリールォン。

リールォンの言葉を繰り返して、しっかりと胸に刻み込んだ。
そして、リールォンは仲間たちに向かい声をかける。

そう言って、ダガーをカルロに手渡した。

カルロは初めて手にする「武器」の重さを両手で確かめるようにしてから、腰のベルトにそれを刺した。

マーキュリーが見た感じでは、どこにでもあるごく普通の石ころにしか見えなかった。
もちろん、仕掛けについては見当もつかない。

シジリカは扉へ近づき、自分の背丈よりも遙かに大きいそれを、ときおり背伸びをしながら罠がないか調べる。
どうやら罠は無いのは確実のようだ。

マヨカカは歩み出て冷たい石の扉に手のひらを置いた。

カルロは突然耳に手をあて、叫んだ。
天井を見上げ、まるで何かにすがりつくような表情で空を見回す。

カルロの震える声を打ち消すように、先ほどの老人の声が響いた。

南北の石の扉が音もなく消えた。

カルロの肩をポンと叩く。

不安を押し殺しながら、腰のダガーの柄を握りしめて扉の奥を見つめる。