アンリ少年の案内のもと、冒険者は聖なる泉へと向かった。
　途中の道は、長閑なものである。小鳥はさえずり、季節の花が咲いている。

　……時たま見える石像…さえ視界に入らなければ、だが。

　特に危険な動物に会う事もなく。どうやら、無事泉へと辿り付きそうだ。

　そうアンリ少年が答えた。
　ずーっと頑張って歩いてきたせいか、顔に少し疲れの色が見える。

　しかし、体のアチラこちらが石化しているためか。大分歩き難そうだ。

　確かに。石化している分少し重いだろう。

　キルリックは、膝を折り、アンリに背を向けてしゃがみこんだ。

　キルリックの背に乗ろうとしているアンリを、ちらりと見つめる。

　確かにそうだ。

　アンリが分かるのは、民間療法で使う範囲のようだ。

　目をキラーンと光らせて、周囲の薬草をチェックする。

　ミァとは反対側から捜索開始！
　ミァは、沢山の薬草を見つけた。どれもこれも、民間療法で使われるものではあるが………
　目的のヘンルーダは、前に食べたことのあるリュントが見つけた。
　なかなか沢山生えているようだ。

　ヘンルーダを引き抜き、口に運ぶ。

　水筒の水をかけて表面を軽く流してから、１人分のヘンルーダを食べる。

　ミリィも涙を滲ませながら、ヘンルーダをかじる。

　リーダーとミァを見ながら・・・

　リベンジに燃えている。

　一人、味覚が違うモノがいるようだ。

　軽く水で流したヘンルーダを指し出す。

　アンリもヘンルーダを食べた。
　苦みのある食品に慣れているのか、はたまた我慢強いのか。泣き言のような事は一言も漏らさない。

　そういう事。

　ごそごそと草むらへしばし・・・
　やがて両手に一株づつ持ってきて

　と、キルリックの目の前へ差し出す

　小袋に石を適当につめ、その袋にヘンルーダを括り付けた。