早朝。捜索班が森へ向かって暫くして、診療所に村民以外の訪問客があります。

扉が開き入ってきたのは見たことのある衛視です。

クレフをアランの元に残し、ルーディと共に元診療所に向かうと、 診療所の前には、行きに機材を運んできた荷馬車が停まっています。
ジミーの姿は見えません。
ルーディは荷馬車の荷台を見ると、ため息をつきます。

診療所の中を覗き込みますが、ジミーの姿は見えません。

ジークも後ろからひょっこり覗きます。
その時、大きな梱包用の箱の後ろからジミーがひょっこり顔を出しました。

ジミーは大きな木箱をポンと叩きます。

ジークは診療所の中に入ります。
ルーディーと一緒に80kgはあるかという木箱を持ち上げます。
そのまま運び出そうとしましたが、箱を持つ手が滑ります。
見ると箱から赤いぬるぬるした液体・・・血液らしきものが染み出していました。

ルーディはジークの後ろを指差し、悲鳴を上げます。
当然箱は落とします、ジークの足の上に。。
箱の蓋が開き、隙間からバラバラに切断されたジミーの遺体が覗きます。

ジークが剣を抜きつつ涙目で振り返ると、背後には身の丈2mの白い人型の怪物が立っています。
そして、その怪物の刃物のような腕が今にも振り下ろされるところでした。

怪物の手刀は鎧を切り裂きジークに傷を負わせます。
そして、間髪入れずに怪物は古代語魔法の詠唱に入ります。

怪物の尾の先に青白い火花を放つ雷球が出現すると、上位古代語の詠唱と共に膨張していきます。
詠唱が終わった直後、空気を震わせる破裂音と共に雷球から一直線にのびた電光はジークとルーディを貫きます。

ルーディは電光に跳ね飛ばされその場で倒れます。

怪物はジークに止めを刺そうと手刀を振りかぶりました。

ジークは背後から聞こえたクレフの声に身を屈めます。
その時、ジークの髪をかすめて背後から飛来した光の槍が怪物の胸に突き刺さりました。
怪物は胸に開いた穴から緑色の体液を溢れさせながら、苦痛にのたうちまわります。

ジークの剣が振り下ろされました。
怪物の頭は悲鳴を上げる口を出現させる間もなく、防ごうとした右腕と共に床に転がります。
異界より召還された怪物は、物質界での生命を失い、床に緑色の体液を残して煙となって消滅しました。