銀の網亭開店直後。まだ人影まばらな中に現れた女が一人。

キョロキョロ。

くるっと周りを見まわして確認。まだ人が少ないので 1 番テーブルが開いている。フィオンは何でも No.1 が大好き。

一人、部屋の隅から目を光らせてカウンターに群がる人間を物色。

ちょうどいいやと、先ほどフィオンが注文した分も盆ごと一緒に渡す。

テーブルに向かったシャノンと入れ違いに、カウンターにユウルがやってきた。

さらさら金髪のショートカットにスレンダーな体型、やや不釣合いな大きな銀の剣をさげた快活そうな少年……風だが実は少女が、笑顔で入ってくる。上機嫌でカウンターに着席。

おかみに渡されたトレイを持って、シャノンが 1 番テーブルに到着した。

シャノンはレヴィックを勇者として敬愛しているのだ。でも、フィオンの遠慮会釈ない評価はぜんぜん気にしてない。というか、善意にしか解釈できない。

2 階から降りてきた長身に黒いコートの優男一人。カウンターを素通りしてまっすぐ 1 番テーブルへ向かう。

テーブルからレヴィックがカウンターへやってきた。
カウンターの反対側でおやじと話しているユウルを確認して、エールを注いでいるおかみを捕まえる。

ユウルの目の前にはサンドイッチが運ばれてきた。それに射しかかる黒い影！

カウンターの反対側から、おかみがすかさず持ってくる。

その後ろから、ミルクとサンドイッチ持ちつつユウル登場。

久しぶりの女の子同士の再会ってこんな感じだよね(違)

痛いとかそーゆー問題ではないと思われ。

ユウルの銀製の剣は、今では『JJ』と呼ばれて欠かせない相棒だ。 フィオンの言う『”あの”寺院』については #76 参照。

偏見である。

自分がそのシーフだってことは、まだ隠せてるつもりらしい。

それでもシャノンには十分に隠せているらしい。

扉から入ってきた小柄な金髪を素早く目に止めたフィオンが、さっと席を立つ。のんびり見送るシャノン、レヴィック、ユウルの 3 人。

残されたユウルは、とりあえず朝御飯を食べながら席取り。

カウンターに頬杖をつきながらシアワセそうに空を眺めている。
金髪の髪の毛には寝癖が…… それに、お昼に朝食を頼むなって。
しかし、幸せは長続きしない。気がついたらいきなり両隣を確保され。

いきなり二人に話し掛けられ。

トドメに後ろからレヴィック登場。

何故か脅えていたりして。

シャルルは辺りに助けを求める視線を投げかける。
既に 3 方向をふさがれてるんですけど・・・？

残った正面カウンターのおやじも助けにならず。四面楚歌。
おやじの言う『綺麗どころ』にレヴィックが入っているかどうかは永遠の謎。

泣きそうな顔のシャルルを見て一言。
フィオンさん、すごく恐いんですけど。

少し落ち着いて3人に話しかけます。

イキナリど真ん中直球勝負。

でも、目線は微妙にレヴィックを避けているんだなこれが(笑)

疑いのマナコ。横目で観察してみるが……

思いっきり首を横に振る。恐いよねぇ。
だって、180 超の長身で黒いコートでオネェ言葉で (にやっ) だよ？

決して逃げた訳ではありません。

カウンターの方から、意気揚揚とフィオン達が戻ってくる。

レヴィックはカウンターの方を見ている。

と言いつつ同じようにカウンターからテーブルを見渡すシャノン。

何を見つけたか、イキナリ席を立った。
それを目で追いつつ入れ違いにテーブルにやってきたシャルル。

シャノンを指しつつ、ユウル、フィオン、レヴィックに向かって喋りかける。

笑顔で握手を求める。見た目少年剣士風。でっかい銀の剣つき。

期待を込めた視線で見つめている。シャルルは握手に応じた。

ユウルの期待に満ちた熱いマナザシ。視線を追って……？

手で慌てて顔中を拭きまくり。いわゆるネコが顔を洗う仕草で。

相変わらず顔を拭いている。

一方、席を立ったシャノン。スタスタとカウンターへ。

てんこもりの食料を持ってテーブルに向かうシャノン。
そこで何が起こったかは、彼女の名誉のために伏せておこう、と GM は思った。

シャノンが戻ってきた。冷静なように見えるが、顔が疲れている。

そう言ってシャノンの腕を振って見せる。
……それはキスマークじゃなくて、歯型だっつーの。

泣きながらキュアウーンズ＆キュアポイズン。

シャノンの勇者がてれてれとどこぞから歩いてくる。

シャノンが来た方を見てみる。そこにはパオルとその仲間たちが。

人かなぁ……。いや、なんでもないです。

いや、シャルルはビビってたよ。

にこにこ　と、とても楽しそうだ。

ちょっと顔を赤くしながら手をパタパタさせる。顔から火が出そうだ。
その頃、カウンターでは、レヴィック＆シャノンが例のドワーフと接近遭遇中。

ちょっと時は戻って、カウンター。

銀の網亭の扉を開いて1人のドワーフが入ってきた。
彼女は、そのままカウンターの椅子に座ると、まず自分を指差し、次にエールの入った樽を指差してから、「ほえほえ」っと、おやじに笑いかけた。

首から木製の名札を下げている。そこには「エアヘッド」とだけ書かれていた。

ジョッキになみなみと注がれた茶色い命の水を目の前にして、彼女は満足そうにのどを鳴らした。

必ずしも冷えているとは言い難いそれを、一口ばかり含んで、唇を湿らせると、おやじに向かって「はわーん」と、満足そうな表情を見せた。

あとは一気に、ジョッキの中身が体内に消えていった。

偏見じゃ、偏見じゃ。
シャノンの後ろから声をかけ……ようとしてちょっと考えるレヴィック。一瞬生じた迷いを振り切る。

ごきゅ、ごきゅ、ごきゅ。命の水が豪快に彼女の喉を通っていく。

ジョッキを飲み干したところで、後ろからシャノンに声をかけられていることに気がついた。

カウンターの椅子を降りて、丁寧にお辞儀をする。
それから、左手で首からぶら下げた名札を、シャノンとその後ろにいるレヴィックに良く見えるように調整しながら、右手の親指を立てて、「ぐぅ」とばかりに微笑んだ。

誰も知人のいない初めての街、初めて入った酒場で、やさしく声をかけられたエアヘッドは、シャノンの言っていることの半分くらいしか理解できなかったが、とにかくついていくことにした。

変なドワーフ娘エアヘッドを確保して、テーブルへと戻るシャノンとレヴィック。大丈夫。ちゃんと後をついて行くところを見ると、意思は通じている。

シャノンとレヴィックに誘われて、エアヘッドは１番テーブルについてきた。
すでにテーブルに座っていたフィオン、ユウル、シャルルの顔を見渡して「えへら〜」と笑った。

エアヘッドは、最初きょとんとしていたが、それがフィオン流の愛情表現なのだと気が付いて、照れ隠しのように、「にへ」っと笑った。

そのメンバーを聞いて、ちょっとだけシャルルの事を心配したおやじだった。まぁ、間違っても取って食われることはないだろう。がんばれよ。

こうしてパーティは、新しい冒険へと一歩を踏み出したのだった。