2時間ほど経って、一同が個室で騒ぎ疲れた頃になって、個室のドアがノックされた。
　返事をするとドアが開いて、一人の女性が入ってきた。
　黒髪の穏やかな印象を受ける女性だ。白い法衣を着ていて、神官風に見える。

　何がよろしいのかさっぱり分からない。

　今度は机に突っ伏して眠るラス。

　物腰は落ち着いているが、20歳前後くらいだろうか。

　ヘルムンスに声をかけながら、ついでにラスを蹴り起こす。

　椅子から転がり落ち、綺麗に二回転して、ルゥミアの足下に到着。

　そして立ち上がったラスは、にこやかにギャスパーに歩み寄り、

　わざとらしくも満面の笑顔で肩を叩く。

女性の服装に首を傾げる。

　ルゥミアのマーファの紋章を見て、にっこりと笑いかける。

　適当に椅子を引き、依頼人を促す。

　そう言って、ギャスパーは部屋から出て行った。

　彼女は、コリューンの引いた椅子に腰掛けると、話し始めた。

　ノックもせずに、お茶とお菓子を抱えたギャスパーが部屋へ入ってくる。注いだお茶をみんなに渡してから、空いた椅子に座る。

　一口お茶をすすり、

　ルキシュはギャスパーから飲み物を受け取ると、真剣な面もちでルゥミアの話に耳を傾けた。

　思わず、依頼人の腕に目をやる。彼女は視線に気付いたのか、ギャスパーの方に両手を差し出してみせた。

　勘違いを指摘されたギャスパーは、照れ笑いを浮かべながら頭を掻く。
　アンリは床をゴロゴロして遊んでいたがふと気がついたように動きを止める。

　彼女はアンリを子供だと思ったのか、先生が生徒に話しかけるように言った。

　その質問に、ルゥミアは少し困ったように眉を寄せた。

　かく言う本人もわずかな知識を掘り返してみたのだが、何も思い出すことはできなかった。

　毛むくじゃらの魔物については触れない。きっと彼にもわからなかったんだろう。

　ルゥミアの話に、チャ・ザへと祈りを捧げる。

　ラスは不機嫌そうに目を細め、

　アンリはお茶を勢いよく全部飲み干すとまたゴロゴロしながら考え始めた。

　思わず軽い財布の中を覗きこむラス。