「歌姫の宮殿」内ホール・ステージ付近 |
ここで、今まで沈黙を保っていたエレボスが口を開きます。
■ エレボス To:セリーヌ |
いいえ、私の考えがあっていれば少なからず関係はあるはすです。 あなたは思い残す事があり長い年月この世に留まり歌い続けています。 その願望は”歌いたい”のはずです。 そして彼女は心の病により声を無くし歌えなくなりました。 しかし”また歌いたい”と思う気持ちは強いです。 お互いの思いは”歌いたい”です、この2つの思いが強かったので引合って夢を見たと思います。 もし貴方がカストゥール王国と共に眠っていれば夢を見る事は無かったはずです。 それでも貴方は関係が無いと言えますか? また私は一人の聖職者として貴方も助けたいと思っています。 |
エレボスの言葉を侮蔑と取ったか、それとも図星だったのか、セリーヌの頬がぴくっと動きます。
■ セリーヌ(下位古代語) To:エレボス |
岩妖精が妾を助ける?これは面白いことをいう。 確かに妾の望みは歌うことかも知れぬ。 じゃが、主らに、その娘に妾の歌を聴く資格があるとは思えぬがな。 |
■ エレボス To:セリーヌ |
貴方の望みはただ歌う事じゃありません。 満月の日に観客の前で歌うことです。 私達はここに来る前1つの噂を聞きました。 それは”満月の日この宮殿から歌声が聞こえると” ただ歌う事が望みなら貴方はすでにここにはいないでしょう。 満月・歌この2つはすでにそろっています。後は観客です。観客として、歌を聴く資格は自分には無いかもしれない。 しかし私の仲間達にはあると思います、いえあります。 だけど聞く資格者を選ぶのは貴方です。貴方が無いと言えば……。 |
■ セリーヌ(下位古代語) To:エレボス |
・・・・・・・ふむ。確かにその通りかもしれぬ。 |
セリーヌは複雑な表情でエレボスを見ます。
■ コリューン To:セリーヌ |
・・・っていうかサぁ、「資格」って何よ? 例えば、カストゥールの王様ってコト? ただ「聞きたい」って思うだけじゃいけないの? 私達に歌を聞かせる事は歌姫としてのプライドが許さないって言うけど、じゃぁ、歌姫のプライドって何なの? 歌わない歌姫のプライドって何? 歌わなくても歌姫と言えるの? ただの未練がましい幽霊とどこが違うの? ・・・・・・・貴女は、どうしてまだここにいるの? |
セリーヌの態度に腹を立てたかのように、一気に捲し立てる。しかし、一番最後の質問だけ声のトーンが低い。静かな声で問い掛ける。
■ セリーヌ(下位古代語) To:コリューン |
異な事を。 カストゥールの王ですら一人の聞き手に過ぎぬ。 聴きたいと思い、聴きに来ることこそが、妾の歌を聴くことのできる唯一の資格。 主らこそ何故ここにいる? 少なくとも妾の歌を聴くためにここに来た、という訳では無かろう? 今までの者どもと同じように妾の宮殿を荒らしに来ただけではないのか? |
■ コリューン To:セリーヌ |
私達、最初から「貴女の歌を聞きに来た」って言ってるよ★ なのに貴女が蛮族がど〜のこ〜のって、駄々こねたんじゃない。 だいたい荒らしに来たんなら、最初っから貴女に話し掛けたりとかしないって。 ・・じゃ、改めて、もう一度お願いするよ。 伝説の歌姫の歌声を聞かせてくれませんか? |
■ エレボス To:セリーヌ |
コリューンの言う通り私達は貴方の歌を聴きに来ました。 また貴方の歌をきっかけに彼女の声を取り戻せられるかもと言う考えもあります。 お願いします。貴方の歌を聴かせて下さい。 |
■ジェスタ To:セリーヌ |
あなたの歌は蛮族に理解できない歌? 伝説になるくらいの歌姫の歌なら、言葉の壁を越えて、私達にも判るはずだよ。 わたしはあなたの歌を聞きたいな。 |
■ガイ To:セリーヌ |
そうだな・・・。俺は、歌はからっきしだが、あんたの歌なら聞いてみてぇな。 |
■ セリーヌ(下位古代語) To:ALL |
妾の話す言葉すらも理解できぬと言うのに、それでも聴くと、判ると申すのか・・・ |
セリーヌはまた少し複雑な表情をします。
■ エレボス To:セリーヌ |
たしかに言葉は分かりませんが、歌は言葉より心だとと思います。 心有る本当の歌は、言葉が違っていようと直接心に伝わってくるものだと私は思っています。 |
ユリアの腕を引っ張りながら、クラウディアが先頭に出る。
■クラウディア To:セリーヌ |
あたしは歌を聴きたい! いろいろな歌を聴きたくて、あたしは旅に出たんだ! 工房の跡継ぎの座も、工芸の技術を極める道も捨てて、あたしが冒険を続けている理由はそのためなんだ。 今回だって、古代王国の歌姫が、今なお歌い続けているっていうから……そのためにここまで来たんだ。 宝なんかいらない!金も名誉も意味がない!あたしにとっては、歌を聴くことがすべてだ! だから聴かせておくれよ、いまなお伝説に残る、“月の滴纏いし銀の姫”の歌を!! |
セリーヌをしばし見つめた後、クラウディアはそっと、横にいるユリアに声をかける。
■クラウディア To:ユリア |
あたしの気持ちは伝えた。 ユリアさん、あんたも歌が聴きたいんだろう。 だったら、自分で言うんだ。 声が出ないっていうのなら、書くなり、体で表現するなり、なんだっていい、歌姫に自分の気持ちを伝えてみようよ。 言葉であらわさなきゃ、思いは伝わらないんだよ! そのために、ここまできたんじゃないのかい? |
ユリアは少し不安げにクラウディア達を見た後、一歩進み出てセリーヌへとためらいがちに口を開きます。
もちろん声は出ませんが、それでも口の形から下位古代語で貴方の歌を聴く為にここまできました、どうか聴かせてください。
と、何度も言っているように見えました。
■ セリーヌ(下位古代語) To:ALL |
ふむ・・・・・・まあ良かろう。 蛮族に聴かせるのはこれがはじめてであるが、それもまた一興じゃ。 伝説と謳われし歌姫の歌をとくと聴くが良かろう。 |
セリーヌはそう言って、一度精神を集中するかのように息をつくと、歌いはじめます。
■ セリーヌ(下位古代語) To:ALL |
あの春の日のことを。 二人、緑蒼き草原で出会った日のことを。 私の胸はときめき、まるで少女のような高鳴りに身を震わせる。 ただ何も言えずじっと貴方を見詰めているだけ。 貴方は太陽ならば、私は月 貴方が空ならば私は雲。 いつまでもいつまでも貴方に寄り添っていたい。
貴方は覚えていますか?
貴方は覚えていますか?
貴方は覚えていますか? |
セリーヌが歌ったのは秘められた恋の歌だろうか。
伴奏無しとは思えぬほど豊かな音と声量で7人を圧倒します。
遺跡も廃虚とは思えぬほど彼女の歌声は響かせ、ホールは歌声に満ちていきます。
ユリアは歌の途上、感動し何時の間にかはらはらと涙を流しはじめました。セリーヌは確かめるようにもう一度、同じ歌を続けて歌います。
■ アルフレッド To:独り言 |
おぉ、ここまで来た甲斐が有ったな。 |
アルフレッドは呟きながら、必死に歌詞をメモしている。
■ エレボス |
………… |
エレボスは発する言葉を失い、また自分が涙を流している事すら気が付かないほどセリーヌに歌に聞入っています。
■ガイ |
・・・・・おおー!すげえーーーー!!!! |
ガイも、セリーヌの歌声に感動し、がらにもなく大粒の涙を流しているようです。と、ふと冒険者達はセリーヌの声とは別の声が彼女の歌に重なっていることに気がつきました。
何時の間にかユリアが歌を歌いはじめていたのです。
ユリアの歌声もその評判に負けず劣らず、そしてセリーヌの声と質は違うものの、遜色の無いものでした。
二人の歌姫の共演は、同じ歌の繰り返しでしたが、しばらく続いていきます。
■ガイ To:ユリア&ALL |
おおー!!ユリアも歌ってるじゃねぇかーー! |
セリーヌとユリアを交互に見て、まるで子供みたいにはしゃいでいるガイ。
■アルフレッド To:ALL |
ユリアさんの声も戻ったし、上手くいったみたいだね。 |
■ コリューン To:アルフレッド |
・・・・・ほぇ? あ、うん。そだね〜・・・・・ |
コリューンは歌の方に気を取られていたのか、アルフレッドに生返事を返します
■ジェスタ |
……………… |
ジェスタも声も出せずに、デュエットに聞き惚れているようです。
歌詞の内容までは判らないけれど、伝わってくるものを受け取るので精一杯って感じです。
■クラウディア To:(胸中) |
(忘れるものか……この歌を、この思いを……今のあたしには歌う力は無いけれど……いつの日か、きっと……) |
静かに、胸の中にその言葉とフレーズを刻みつけるクラウディアであった。同じ歌をいったい何度繰り返したのだろうか?
その度に新しき感動が細波のように生まれてくる、そんな感じの歌声であり聴いていて飽きることはなかった。
やがて、二人の歌姫は歌うことを止め、音楽堂は再び静寂を取り戻した。
■ セリーヌ(下位古代語) To:ALL |
伝説の歌姫の歌はいかがであったか? |
セリーヌは押し黙ったままの冒険者達にそう尋ねます。
■ガイ To:セリーヌ&ユリア |
・・・・・・。 すばらしかったぜーーーー!!! セリーヌーー!ユリアーーー! ヒュー!ヒュー! |
ガイは、手が腫れあがるくらい思いっきり拍手しています。
■エレボス To:セリーヌ |
ありがとうございます。これほど心打たれる歌を聴いたのは初めてです。 |
コリューンは、まだボケ〜っとしてます(^^;;
■クラウディア To:セリーヌ |
……ありがとう、あたし達のために歌ってくれて。 こんな歌を聴くことは、おそらく2度とないだろう。 生涯忘れはしないよ。 |
■ジェスタ To:セリーヌ |
とても良かったよ。あなたの声や想いは、ちゃんと私にも伝わったから。(^^) |
■ アルフレッド(下位古代語) To:セリーヌ |
伝説の名に恥じない素晴らしい歌でしたよ。 |
■ セリーヌ(下位古代語) To:ALL |
そうか、500年の時を経ても妾の声もさび付いておらなかったと見えるな。 |
セリーヌは満足そうに肯きます。
そして視線を即席のデュエットの相手−ユリアへと移します。
■ セリーヌ(下位古代語) To:ユリア |
して、主、名は何と言う? |
■ ユリア(下位古代語) To:セリーヌ |
ユリア・ティファニーと言います。 |
ユリアは一語一語まるで自分の声を確かめるようにそう答えます。
■ セリーヌ(下位古代語) To:ユリア |
ユリアよ。主も良い歌歌いじゃな。 歌を歌いつづけることということには、時に辛くくじけそうなときもあるやもしれぬ。 じゃが、歌を捨てるでないぞ。 主ならば何年かすれば妾を越えるかもしれぬ。 伝説の歌姫が言ったこの言葉を良く心に刻んでおくのじゃ。 |
それがセリーヌの精一杯の賛辞であることに、果たしてユリアは気がついただろうか?
■ ユリア(下位古代語) To:セリーヌ |
はい・・・・。 |
ユリアは彼女に対しただ肯いただけであった。
セリーヌは微笑んで若き歌の後継者へと肯くと、冒険者達を見渡した。
■ セリーヌ(下位古代語) To:ALL |
さて、妾はもう行かねばならなくなったようじゃ。 ・・・・・・さらばじゃ。 |
そう言うセリーヌの姿はさらに透明さを増していき、それに反比例するかのように彼女の身体は暗くなっていきます。
■ ユリア(下位古代語) To:セリーヌ |
あっ・・・・ |
そして辺りに溶けるかのようにセリーヌの姿は消えてしまいました。
それと前後するように月の光のスポットライトも消えさってしまいました。
■ガイ To:ALL |
ああー、消えちまったな・・・。 しかし、なんでユリアの夢にセリーヌが出てきたのか、わからねぇなー。 |
■ コリューン To:ガイ&ALL |
ん〜・・・一緒に歌ってくれる人を探してたとか〜(?_?)?? |
■ ユリア To:ガイ&コリューン |
きっと・・・・・心のどこかで歌いたい自分がいて、その思いが夢に出ていたのかもしれません。 伝説の歌姫の姿となって。 |
■エレボス To:ALL |
そうあって欲しいですね。 ユリアさんの声はもどりました。 しかしセリーヌさんが本当に願いを適えて安らかに眠っていただければ聖職者として嬉しいのですが私の経験では確認のしようがありません。 ただそうであって欲しいと願うだけです。 |
■クラウディア To:ALL |
銀の姫が待っていたのは、聴衆だけじゃなくて……もしかすると、自らの歌、思いを歌い継ぐ者だったのじゃないのかね。 だからこそ、同じ歌を……何度も、何度も繰り返して……… そうだとしたら、あの人の思いは満たされたんじゃないだろうか。 |
■ガイ To:ユリア&ALL |
・・・かもな・・。 で、どうするみんな?今日はもう遅いし、ここで野営するか! |
■クラウディア To:ガイ&ALL |
賛成だよ。 伝説の歌姫を偲びつつ、一晩過ごすのもいいかもしれないしね。 |
■ コリューン To:ガイ&ALL |
そだね〜☆ 下手に動くと、迷子になるかもしれないし〜★ ンじゃ、てきと〜にここら辺のモンをどかしちゃおう♪ |
コリューンは、瓦礫を適当にどかして人が寝れるスペースを作り始めた。
■ガイ To:ALL |
よーし、肉体労働ならまかせてくれ! |
ガイも、瓦礫をどけはじめます。
■クラウディア To:コリューン&ALL |
おおっと、それじゃあたしも手伝うよ。 ……そこいらの男性陣も、運ぶ、運ぶ! 頭脳労働者さんたちも、ちっとは肉をつけなくちゃね。 |
といいつつ、エレボスとアルフレッドに遠慮なく大きな石を押しつけるクラウディアであった。
■ アルフレッド To:クラウディア&ALL |
うっ、重い・・、でも片付けないと俺が寝れないし。(;´Д`) |
■ エレボス To:クラウディア |
む・無理させないで下さい。肉体労働は苦手なんですから(^^; |
■ガイ To:アルフレッド&エレボス |
情けないぞ、アルフレッド、エレボス! |
■ジェスタ To:独り言&ユリア |
……へなちょこだなあ、二人とも。 それにしても、声が戻って良かったね☆ 予想通り、素敵な声だね。(^^) |
■ユリア To:ジェスタ |
ありがとうございます(^^ |
なんとか野営できるスペースも確保でき、その日はそこで一夜を過ごすこととなった。
瓦礫どかしにアルフレッドとエレボスが貢献できたかどうかは定かではありませんが(笑) そしてエレボスは荷物の中から木でできた造花を一つ取り出す。
■エレボス To:ユリア |
この花は声が戻った貴方にプレゼントしようかと思っていましたけど、 セリーヌさんの為にここに置いて行こうと思います。 |
■ユリア To:エレボス |
ありがとうございます・・・・・。 |
その日はそこで一夜を過ごすこととなった。
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