数日後の昼時。
　一行は、依頼人が来るのを待っていた。おやじが連絡を付けてくれたところによると、そろそろ来ることになっている。

　そう言うと、アップルは首を傾げながらホットミルクに口を付けた。

　と───

　ちょうどそこに帰ってきたのは、おかみさんだった。買いだして来たらしき布袋を隅に置きつつ………

　なにやら物騒な話題に、クラウディアがぱっとおかみさんの方に振り返った。

　論点がずれていることに気付いていないのか、フィアルラは一人で納得してぽんと手を叩いている。

　その問いに対して、おかみは少し考え込み………

　そう言いながら、おかみさんは右手を軽く握った。そして、ひょいと振り下ろす。

　───と、おかみさんがそこまで言ったあたりで、入り口の方から「からん」という音がした。

　扉が開いており、そこには女の子がぽつんと立っている。
　身長はフィリスやフィアルラと同じくらいか。年頃は10代半ばに見える。白い肌と黒い髪の対照が印象的な少女だ。

　何か言おうとしているが、視線が足元を向いている。なにやら、怖がっている様子にも見える。

　おやじがそう言うと、女の子はこちらの方───の足元───へと視線を向けた。

　女の子が視線をさまよわせているところに、フィリスは無造作に近づいて顔をのぞき込む。

　リーアはちらりとフィリスの方を見ると、再び視線を逸らす。

　続いてアルフレッドがフィリスの隣にしゃがみ込んで、女の子の顔をのぞき込むように話しかけようとする。
　───どうでもいいけど、みんなでそうやって見上げるとチンピラが絡んでるみたいなんですけど………

　その言葉にフィアルラがぷうっと頬を膨らませた(不満らしい)

　続いてクラウディアがリーアに近づき、見上げる形で(しゃがまなくても自動的に見上げる視線になる)にこっと───どちらかというと、にかっと───笑いかけた。

　アップルは、とりあえず依頼人を落ち着かせるのが先決と結論づけたらしい。

　パーティの6人と、依頼人のリーアはテーブルを囲んで座っている。
　リーアは、緊張しているのか、少し居心地が悪そうだ。

　リーアは一気に訊ねられて答えに窮しているのか、しばらく視線をさまよわせた後、半分俯いたまま視線だけ上げた。

　何か言いづらそうに、最後の方は消え入りそうな声だ。

　───そこまで言って、リーアはぴったり二秒間口ごもった。
　そして───