| 遺跡の中 |
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| 23 | 冒 | 険 | 者 | ||||||||||||||||||||
| 扉 | 扉 | 扉 | |||||||||||||||||||||
重い扉を押し開いた冒険者の目の前に‥‥‥暗い‥‥じめじめとした空間があった。
ぽつん、ぽつんとある魔法の光に照らされて‥‥部屋の中には3人ほどの人影が見える。
一人は‥‥祭壇らしきものに必死に祈りをささげている。
周囲の事など、なにも気がつかないように、必死なる祈りを。
| ■ 人影C |
|
誰だ、お前らは‥‥ここを何処だと思ってるんだ? 用がないなら、さっさと出てけ。 怪我をしないうちにな‥‥ |
冒険者の姿に気がついた、人影の片方がそう言う。
その声は多少甲高く‥‥ちょっと耳につく声だった。
| ■ アフル To:人影C |
| 「マーシィさん」に止めてって頼まれたって言ったら? |
その単語に、一番奥にいる人影が反応した。
ゆらり‥‥と祭壇に背を向け、冒険者の方へと向く。
| ■ 人影A |
| ‥‥‥‥ |
‥‥何かしら発言したのだろうが、あまりにも声が小さく‥‥その声は冒険者まで届かなかった。
| ■ 人影B |
|
これはこれは‥‥勇敢なる冒険者‥‥殿‥‥‥なのかしら? その冒険者が‥‥何の用なの? 「マーシィさん」とやらに‥‥何を止めるよう頼まれているの? ここは神聖なる神殿よ?その神殿に土足で上がらないでくれる? |
奥のほうからとがめるような声が聞こえる。
部屋にいる人影、三人ともが冒険者のほうを見ている。
室内は、冒険者達が今立っている以外の扉は見られなかった。
部屋の一番奥にある祭壇は、なにかしら隠れることができるように思えた。しかし、遠くにあることと、暗い事があって、何の神をまつっている祭壇かは見えなかった。
上を見ると‥‥だいぶ部屋の天井が高いらしく、この光では上に何があるのかも、それどころか天井がどのぐらいの高さにあるのかも見れなかった。
中にいる三人をよく観察してみると、Aはとてもみすぼらしい格好をしているようだった。髪の毛は伸びるがままにしており、着ている服装も、暗いのでよくわからなかった。
Bは‥‥Aの隣にいるせいか、だいぶほっそりとしているようだ。
長い髪の毛をうしろで一つに結んでおり、全身黒いソフトレザーに身をつつんでいる。
‥‥こころなしか耳が尖っているようにも見えるが‥‥それは髪飾りのようにも見えた。
Cは他のふたりよりも近くにいるので、だいぶはっきりと見える。
Bと同じく全身黒のソフトレザーに身をつつみ、手にはショートソードが握られている。
髪は背中のあたりまであるようで、Bと同じく後で一つに結んでいる。
‥‥耳が尖っているだけではなく、心なしか肌も黒っぽく見える。
その種族。ヘルムンスにははっきりと判った。
ヘルムンスにとって、忌むべきもの。見たくもない種族だった。
Bはどうだか暗くてはっきりとはわからないが、Cは確実に言える。
ダークエルフだ!!
どうやら、ゲルグらしい人物はいないようだった。
| ■ ヘルムンス |
| 奴等の仕業か・・・「あれ」達の考えそうなことだ。 |
| ■ ノエル |
| 肌の色が違うだけならまだしも、考え方まで違うんじゃ・・・好きになれないわね。 |
エルフの宿敵たるダークエルフの存在に、ヘルムンスは反吐が出る思いをした。
そしてノエルもまた、相手がダークエルフと呼ばれる種族であることに気がついたようだ。
| ■ オジイ To:3人 |
|
私たちはあなた方と争うためにここへ来たわけではありません。 ただ、あなた方と話がしたいのです。 |
そう言いながら、オジイはランタンを床に置いた。
| ■ 人影C To:オジイ |
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はぁ?話しがだと‥‥? お前達が何の目的で来ているのかは関係ないし、我々はお前達と話す気はない。 怪我をしたくなければ、早々に帰れ!! |
暗闇に、Cのショートソードの刃が煌いた。
A,Bはともかく、Cは聞く耳持たない状態らしい。
| ■ ヘルムンス To:C |
|
私個人としましても、斯様な所には一刻たりとも在りたくはないのですがね。 貴君らが貴君らの封土で安穏と暮らしているのなら、吾等は貴君らと違って不要な殺生をすることはないのですが。 |
| ■ 人影B To:ヘルムンス |
|
ふん‥‥一番同意したくもない者と意見が会うとはね。あ〜〜嫌々。 我々とて、この神聖なる場所にお前みたいな輩にいて欲しくはないわ。 在りたくもないなら、それは結構。さっさと地上(上)に帰ってちょうだい。 |
エルフたるヘルムンスの存在に気が付いたのか、人影Bは嫌悪感をもろ出しにしてそう言い放つ。
| ■ ソフィティア To:C |
| 生贄を要求されてるいじょう、帰れといわれて帰るわけにもいかないのよ。 |
| ■ 人影C To:ソフィティア |
| 生贄だぁ‥‥?そんなの‥‥ |
| ■ 人影B To:人影C |
| リュサーヴェルド!自分の仕事を忘れるんじゃないよ! |
何かしら言葉を言いかけた人影C(リュサーヴェルドという名なのだろう)に対し、奥のBが叱咤を浴びせる。
| ■ リュサーヴェルド To:人影B |
| すっすいません、ヴァイベェング様‥‥ |
どうやら、奥の人物の名前はヴァイベングらしぃ。
| ■ オジイ To:3人 |
|
まず、あなた方のやっておられる行動……生け贄を要求する……ということをやめて貰いたいのです。 そのために、私たちはここへ来たのです。 今のところあなた方は脅迫状を1枚書いただけでほかには何も法に触れるようなことはやっていないはずです。 そして……エーギルさんがおられるなら、是非、マーシィさんと会って欲しいのです。 どうでしょうか? |
| ■ ヴァイベング To:オジイ |
|
ちょっと待ちな、冒険者。 いきなり神聖なる神殿に土足に上がってきて、何を言い出すかと思えば‥‥生贄とは何のこと?私達はお前達に生贄を求めたことなどないわ。 そもそも‥‥その生贄とやらにお前達がどんな関係があるというの? エーギル殿ならば、ここで熱心に神に祈りをささげている最中よ。 邪魔をしないでちょうだい。 |
あざけるような口調で、そう言う。
| ■ ヘルムンス To:ヴァイベング |
|
何が貴君らにとって神聖かどうかは存じ上げませんし、存じたくもないのですが、吾等が貴君らの封土を犯したというのであれば、頭くらい下げる程度の礼儀は吾等はもちあわせてますよ。 |
慇懃無礼の見本ともいえる仕種で、頭を垂れる。
その仕草を見て、ノエルは驚きつつも納得してしまう。
| ■ ヴァイベング To:ヘルムンス |
|
はぁん‥‥「見かけ上」の礼儀とやらは身につけているつもり? 賢明なる貴方ならば分かるでしょう?私が何を言いたいのかは。 私達にとって、「私達に対して頭を下げる」という行為が、何も価値がないという事を。 まぁ‥‥我が神に対しての忠義としての礼ならば、話は別だけど‥‥ね。 |
自分で言った冗談が楽しいのか、ヴァイベングはしばらく笑い転げる。
| ■ ヘルムンス To:ヴァイベング |
| ・・・もっとも、貴君らが本分をわきまえず、光さす地にまで手を伸ばそうとするのであれば、話は別ですがね。 |
| ■ リュサーヴェルド To:ヘルムンス |
| あんだと‥‥? |
| ■ ヴァイベング To:リュサーヴェルド |
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ほっときな。 所詮は光の神の奴隷となった連中のはしくれ。 高尚なる私達と意見が合うわけがないでしょう? |
| ■ オジイ To:ヘルムンス |
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ヘルムンスさん。彼らと知り合いなのですか? 仲が良さそうにも見えませんが……。 |
| ■ ヘルムンス To:オジイ |
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私も彼等と直接話を交わすのははじめてですけどね。 あなたも話くらいは聞いたことはありませんか?漆黒の肌を持つ邪悪なるエルフたちのことを。 目の前にいる彼等が、まさにそれですよ。 |
と、吐き捨てるように言う。
| ■ アフル To:ヴァイベング |
|
生贄を求めた事なんてない? シンディさんの事は? 村長さんに逆恨みしてシンディさんを生贄に要求したって事はわかってるんだよ? |
と言いつつ、弓にこっそり手を伸ばします。
| ■ ヴァイベング To:アフル |
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ふん‥‥若造が利いた風な口をするんじゃないよ。 あたしが言っているのは一つ。「神聖なる神殿に土足で踏み込まないでちょうだい」。 エーギル殿の祈りの邪魔を‥‥ね。 |
アフルの動きに気が付いたのか、リュサーヴェウドはいつでも動けるような姿勢になっている。
辺りに緊迫した空気が流れる。
| ■ アフル To:ヴァイベング |
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だから、とぼけないでよ。 俺は、「シンディさんを生贄に要求した事」について聞いてるんだよ。 どうせ痛い所を突かれたから答えられないんだろうけど。 それとも、「年寄りだからボケてて思い出せない」とか? |
| ■ ヴァイベング To:アフル |
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‥‥‥はぁ。 若造かと思ったら、ただの赤ちゃんだったとは。 さっさとママの所にでも帰りな。 それとも、半端モンの帰るトコなんかないかねぇ‥‥? もしもママのミルクが欲しくなったら言いな。あたしのでよければ吸わせてあげるさ(笑)。 |
アフルがハーフエルフだということがわかったのか、その点を付いて話しをそらすヴァイベング。
| ■ アフル To:ヴァイベング |
| 半端モ…っ |
真っ赤になって口パクパク
| ■ ヴァイベング To:アフル |
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あ〜ら、図星なのは坊やのほうじゃないの(笑)。 ここは、大人が来る場所なのさ。 赤ちゃんは、さっさと帰りな(^^)。 |
| ■ ソフィティア To:エーギル |
| エーギルさん、貴方の娘さんから以前起こった事は聞きました。そして、その後どうなったかも。でも、貴方はマーシィさんにその後会ったんですか?彼女が貴方に伝えたい事をちゃんと聞いてあげたんですか? 貴方にさえその気があれば、彼女は今でも貴方に語りかけてくれるんですよ。わたしたちに助けを求めたように。 |
ソフィティアの言葉に、一番奥の人物が動く。
| ■ 人物A |
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‥‥‥ マーシィ、マーシィ、マーシィ、マーシィ 私の可愛いマーシィ。とても愛らしいマーシィ。気だての良いマーシィ。私の、私のマーシィ‥‥‥ |
どうやら、マーシィという単語に強く反応しているらしい。
その反応に嫌気を覚えるのか、ヴァイベングの口調がだんだんと荒っぽいものとなってくる。
| ■ ヴァイベング To:ALL |
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‥‥ったく。エーギル殿がせっかく精神統一して‥‥神への神聖なる祈りを捧げているってのに‥‥それをお前達は邪魔するのか? もう一度だけ言う。 ここは神聖なる神殿。それを汚さないでちょうだい。 特にそこの女と男。 お前達からは邪神の匂いがぷんぷんとするわ。 怪我をしたくなければ、さっさとどこかへ消えてちょうだい。 |
ヴァイベングはノエルとア・トールの事を指し示しているようだ。
| ■ ノエル To:ヴァイベング |
|
そうね。邪神のにおいがする人は消えた方がいいわね。 もっとも、消えるのは私たちじゃないけど。 |
ノエルの言葉に、ふん、と鼻をならすヴァイベング。
| ■ オジイ To:ヴァイベング |
|
まあまあ、そんなに熱くならないでくださいよ。 あなた方が、あの脅迫文、「シンディを明日の晩に、川下の沢の側に捧げないと、村を大魔法が襲いかかり滅ぼす。」ってやつを出したかどうかが分かれば良いんですから。でないと、明晩シンディを生け贄に捧げないといけないんですよ。 |
といいながらオジイはヴァイベングの方へと近づいていった。
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| 23 | 冒 | 険 | 者 | ||||||||||||||||||||
| 扉 | 扉 | 扉 | |||||||||||||||||||||
| オ:オジイ | ソ:ソフィティア | ノ:ノエル |
| ア:アフル | ヘ:ヘルムンス | ト:ア・トール |
| A:エーギル | B:ヴァイベング | C:リュサーヴェルド |
ヴァイベングの方へ歩いていくオジイの前に、リュサーヴェルドが立ちふさがる。
| ■ リュサーヴェルド To:オジイ |
|
動くな。 ヴァイベング様が去れ、と申されている。 怪我をしたくなければ去れ。 |
と、オジイに剣を向けて言う。
| ■ 人物A |
|
マーシィ、マーシィ、かわいいマーシィ。 今度の新月の晩に、おまえに友達を紹介してあげよう。 一人はとても、さみしかろ?一人はとても、悲しかろ‥‥ 父様がお前に友達を紹介してあげるよ‥‥ ふふふふふふふふふはははは!!! 私が望んだ日は新月だ!!!!!明日の晩ではないいぃぃぃぃぃいいいいぃぃいぃぃいい |
か〜〜なりイっちゃっている声で叫ぶ人物A‥‥いや、エーギル。
その発言に、ヴァイベングが頭を抱える。
| ■ ヴァイベング |
|
‥‥はぁ。こんなガキも引っかからない誘導に引っかかるとはねぇ‥‥‥まぁ‥‥‥しかたがないか。 邪魔しに来た冒険者。仕方がないから、相手してあげるよ。 神の信徒たるこの手にかかって死ねる幸運を喜ぶんだね。 リュサーヴェルド、やっておしまい!! |
当然というか、それとも唐突というか。
ヴァイベングとリュサーヴェルドは戦うつもりらしい。
| ■ アフル To:ヴァイベング |
| …それで? |
なんとか息を落ちつけたアフル、でも、全身から怒りのオーラ立ち上ってます(笑)。
そして、弓に伸びてた手は何時の間にか槍を握っている…
| ■ ヴァイベング To:アフル |
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お〜〜怖い。怖い。 坊や、そんな獲物持ってちゃんと扱えるのかい?(笑) せいぜい、すっころんで自分で怪我しないようにするんだね(笑)。 |
| ■ アフル To:ヴァイベング |
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あいにく、どこぞのバアさんとは違ってそこまでもうろくしてないよ。 バアさんこそ、バアさんらしく嫁イビリでもしてたら? あ、そんな性格じゃぁ、子供どころか、貰ってくれる人もいないか。 いやだねぇ、嫁き遅れってのは。 |
| ■ ソフィティア To:ヴァイベング |
| ババアうるさい(ボソリ) |
と、剣を抜く
| ■ ヴァイベング To:アフル&ソフィティア |
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バ‥‥嫁き遅れ‥‥?? ‥‥はぁ。なんでこんなお子様相手にしなきゃならないのか‥‥リュサーヴェルド。適度に遊んでおいで。 私はお子様の相手なんざしたかないね。 |
と、大人の余裕(?)で流すヴァイベングに対し、
| ■ リュサーヴェルド(エルフ語) To:アフル&ソフィティア |
| 我がヴァイベング様を愚弄するとは‥‥‥‥コ・ロ・ス(--メ |
一人、アツくなるリュサーヴェルドであった。
| ■ ヘルムンス |
| やれやれ、所詮彼等とは分かり合えない宿命か・・・ |
ヘルムンスもスタッフを構えた。