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| 「紅の河」亭 |
変貌した「シュゾ」は、人間とほぼ同じ大きさ・体格で、頭の頂点から足の先までの全身が、吸い込まれそうに深い闇の色をしている。その顔には目や鼻らしきものが全くなく、 まるで何かに切り裂かれたかのような横真一文字の真っ赤な口だけが、唯一ついていた。そして、やや長めにも見える両腕の先には、鋭い鉤爪が備わっている。
ウィードバルだけは、この異形の怪物がダブラブルグと呼ばれる下級魔神であることを知っていた。
| 名前 | 生命力 | 精神力 |
|---|---|---|
| ノエル | 11/11 | 19/19 |
| ア・トール | 11/11 | 14/14 |
| アフル・ラシッド | 13/13 | 13/13 |
| ウィードバル | 16/16 | 14/14 |
| シルディア=エス=レングラー | 8/8 | 15/15 |
| ソフィティア・オールド | 15/15 | 16/16 |
「シュゾ」の変身に一瞬驚いたものの、正体を見抜いたウィードバルは、割と冷静だ。
| ■ ウィード To:ダブラブルグ |
| やれやれ… |
ゆっくりと椅子から立ち上がった。
| ■ ウィード To:ダブラブルグ |
| 俺達を甘く見ると痛い目にあうぜ。凸`´) |
| ■ アトール To:ALL |
| おかしな奴だとは思ったけど、なんかやばそうな奴だぞ、おい。 |
シルディアは椅子から立ち上がると、精霊語の詠唱を始める。彼女の呼びかけに応えるように、青白い光の球が現れ、ゆらゆらと揺れながらダブラブルグにぶつかっていく。 怪物の漆黒の身体に触れたとたん、光の精霊はまばゆい輝きと派手な音を立ててはじけ、相手に強い衝撃を与えた。思わずうめくダブラブルグ。
魔神は仕返しとばかりに、近くにいた、得物らしい得物を持たないノエルに襲いかかった。それを見たア・トールが叫ぶ。
| ■ アトール To:ノエル |
| 危ない! 気をつけろ! ノエルっ! |
| ■ ノエル To:アトール |
| えっ? |
しかし、ア・トールの注意も空しく、周囲に気を取られていたノエルは、ダブラブルグの攻撃をかわしきれない。鋭利な鉤爪は、彼女の身に着けている革鎧をやすやすと引き裂き、 細い身体を深々とえぐる。鮮血が吹き出し、ノエルは一瞬気が遠くなる。
| ■ ウィード |
| 万物の根源たるマナよ…我が友の剣に秘めたる力を宿せ…!!! |
ウィードバルの唱えた<魔力付与>の呪文により、アフルとソフィティアの得物にそれぞれ、魔力の発現を示す淡い光が宿った。
| ■ ソフィティア To:ALL |
| い、いったいどうなっちゃってるのよ〜! |
目の前で繰り広げられる状況について、やや釈然としない部分を残しながらも、隻眼の女性戦士は目の前の怪物に斬りかかる。しかし、ノエルの「盾」になるような位置取りを考えながらの一撃であったためか、 振り下ろした彼女の長剣は、惜しいところでダブラブルグには命中しなかった。
ア・トールは、自分が剣を振るっても大した成果を上げることはできないであろうとの判断からか、テーブルの上に放り出されたミシャルカの身柄を保護しに動いた。 少女は、テーブルに打ちつけられたときにできたらしき「こぶ」と軽い擦過傷が額にあるくらいで、身体的にはほぼ無事である。ただし、依然として意識は取り戻していない。
| ■ ノエル To:リーシェ |
| おやじさんやロンさんたちのことお願いします。 |
重傷を負ったノエルは気丈にもそう言い、怪物の動きをしっかり見ながら、ゆっくりと後ずさりする。
| ■ リーシェ To:ノエル |
| 分かりました。 |
もう一人の神官はノエルに答えると、主人や男性の客のほうに小走りに駆け寄り、彼らを離れた場所へと誘導した。
| ■ アフル To:ALL |
| なんなんだろ、こいつ? |
行動を遅らせてウィードバルの援護魔法を待ったアフルは、そうつぶやきながら、魔法の光を宿した長槍をダブラブルグの真っ黒な身体に向けて突き込む。 見事な槍さばきによって彼の攻撃は命中し、魔神はさらなる手傷を負ったようだ。
| 名前 | 生命力 | 精神力 |
|---|---|---|
| ノエル | 3/11 | 19/19 |
| ア・トール | 11/11 | 14/14 |
| アフル・ラシッド | 13/13 | 13/13 |
| ウィードバル | 16/16 | 10/14 |
| シルディア=エス=レングラー | 8/8 | 12/15 |
| ソフィティア・オールド | 15/15 | 16/16 |
| ■ アトール To:ノエル |
| 大丈夫かっ! ノエルっ! |
負傷したノエルを、心配げに見るア・トール。
| ■ ノエル To:アトール |
| 私は平気だから・・・ |
とは答えているものの、ノエルの顔色はいつもにもまして青白い。
さて、ただ一人、異形の怪物の正体を見抜いたウィードバルが、仲間に警告と助言を与える。
| ■ ウィード To:ALL |
|
みんな、こいつは魔法は使わない下級魔神だ! ソフィティア! アフル! 鉤爪にだけ気をつけろ! |
アフルは、今度は行動を遅らせず、ダブラブルグの先手を取って長槍で攻撃を試みる。しかし、その穂先はダブラブルグにひらりとかわされてしまった。
彼と同時にシルディアは、再び光の精霊を召喚して、怪物へとぶつけた。が、こちらも今度は全く効果をあげられない。顔に対して不釣り合いに大きい魔神の口の端が、 わずかに上がったように見える。
そのダブラブルグは、さきにノエルの「盾」の位置に入ったソフィティアに狙いを定めた。鉤爪による攻撃は彼女の身体をとらえ、しかも視覚を右眼のみに頼る彼女の死角に入ったのだろうか、 ソフィティアはそれをやや受け止め損なった。鎧の左わき部分から数枚の金属の小片がはじけ飛び、真っ黒な鉤爪が柔らかな脇腹に食い込む。かなりの深手だ。
| ■ ウィード |
| 万物の根源たるマナよ…マナの纏いを我らに…!!! |
ウィードバルによる古代語魔法は正しく発動し、アフル、ソフィティア、そしてウィードバル自身の身体が、淡く輝く魔法の盾に包まれた。
ソフィティアは、苦痛に顔をゆがめながらも、ダブラブルグに対して剣を振るう。その一撃はきれいに怪物の身体をとらえた――が、いまひとつ打撃の強さに欠け、 与えられたのはかすり傷にとどまった。
| ■ リーシェ |
| 偉大なる神マーファよ、慈愛に満ちあふれし者よ。その大いなる力をもて、かの者の傷を癒したまえ! |
リーシェの祈りは聞きとどけられ、ノエルの傷口がふさがってゆく。
それを見ていくぶんか安心したア・トールは、とりあえず、ミシャルカを抱き上げると、主人や客たちの避難した店の奥のほうへと運んだ。
| ■ ノエル To:ダブラブルグ |
| 本物のシュゾさんはどうしたのよ! |
ノエルの問いかけに、ダブラブルグは答えようとしない。
そんな魔神に対し、彼女は<気弾>の呪文を唱える。目に見えない衝撃波がダブラブルグをとらえ、鈍い音をあげた。効いている。
と、そのとき、酒場の扉が荒々しく開き、「トーレス商店」で店番をしているはずのロゼルナが店の中に入ってきた。その顔色は、まるで死人のように悪い。
| 名前 | 生命力 | 精神力 |
|---|---|---|
| ノエル | 9/11 | 14/19 |
| ア・トール | 11/11 | 14/14 |
| アフル・ラシッド | 13/13 | 13/13 |
| ウィードバル | 16/16 | 4/14 |
| シルディア=エス=レングラー | 8/8 | 9/15 |
| ソフィティア・オールド | 6/15 | 16/16 |
店に入ってきたロゼルナに向かって、彼女をただの客だと思ったア・トールは、注意の言葉を投げる。
| ■ アトール To:ロゼルナ |
| 今、たてこんでるから、店から離れた方が良いぜ。早いところ逃げなっ! |
そして彼は、抱きかかえていたミシャルカを主人へと手渡した。加勢に回るつもりだ。
| ■ アトール To:親父 |
| ミシャルカを頼む。 |
| ■ おやじ To:ア・トール |
| お預かりします。 |
一方、致命傷ともなりかねない強烈な一撃を食らったソフィティアの息は荒い。
| ■ ソフィティア To:独り言 |
| うっく! こ、こいつ、強い。 |
| ■アフル To:ソフィー |
| ソフィー、一旦下がって !! |
アフルの言葉に、ソフィティアは素直に従った。
| ■ ソフィティア To:ALL |
| 誰でもいいから、回復お願い! |
やや弱気の虫が顔をのぞかせているようだ。
| ■ ソフィティア To:アフル |
| アフルごめん! 少しだけ頑張って。 |
手負いのソフィティアをかばうようにして、アフルは長槍を振るった。
| ■アフル To:ダブラブルグ |
| ほら、こっちにかかってこいよ!! |
彼の攻撃はダブラブルグの身体を的確にとらえ、その生命力を削ることに成功した。魔神はだいぶ弱ってきた。
そこへ、シルディアの魔法が追い討ちをかける。三度目となった光の精霊による攻撃は、劇的な効果をあげた。青白い光球は目のくらむような閃きを残して崩壊し、 その衝撃をまともに受けたダブラブルグは、床にゆっくりとくずおれた。
ダブラブルグが倒れたのを見て、ウィードバルとア・トールは、予定していた攻撃を取りやめた。
| ■ ウィード To:ダブラブルグ |
| なんだ、もう終わりか? あっけない…(-.-) |
そして、ぼそりと一言付け加える。
| ■ ウィード To:ダブラブルグ |
| もしかして、親玉はこいつじゃないのかもな。 |
| ■ ノエル To:ソフィティア |
| 次がこなくてよかったわね。今直してあげる。 |
ノエルは戦神マイリーの力を借り、ソフィティアの傷を癒す。完全にではないものの、痛みはだいぶ和らいだようだ。
| ■ ソフィティア To:ノエル |
| ふぅ、ありがとうノエル。とかいってる場合じゃ無いみたいね。 |
リーシェは、ロゼルナのそばに駆け寄った。
| 名前 | 生命力 | 精神力 |
|---|---|---|
| ノエル | 9/11 | 11/19 |
| ア・トール | 11/11 | 14/14 |
| アフル・ラシッド | 13/13 | 13/13 |
| ウィードバル | 16/16 | 4/14 |
| シルディア=エス=レングラー | 8/8 | 6/15 |
| ソフィティア・オールド | 11/15 | 16/16 |
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